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いざ、モールECへ出店!選び方、特長の出し方、期待しない方がよいことは?

※「ZOEの一問一答編」は、主に店舗メインの企業におけるEC事業を対象に、過去の寄稿記事を再編集したシリーズです。

ECエバンジェリストの川添 隆です。コロナ禍の中で、初めての人でも使いやすい操作性や立ち上げの早さなどの背景も含めて、自社ECの新設が増えているようです。

確かにモールECサイト内でお店を開くのであれば、審査のリードタイムが必要ですし、商品登録などの準備に専門知識が求められます。

一方で、日本の物販ECの約50%が大手モールECです。今後EC経由の売上・利益を増やしていくなら、人の流れがある場所だとメリットを享受できる側面があります。今回は、出店する前におさえておくべきことをまとめました。


はじめに(こんな人にオススメ/記事の概要)

今回は、下記のようなコンテンツです。

対象:これからモールECの出店を検討している方、出店はしたものの伸び悩んでいる企業の方
内容:モールにEC出店する上での考え方を示すコンテンツ

※攻略法に関しては、株式会社いつも.のブログなどをご覧ください。

また、EC売上アップのためのメソッドは下記の2記事で公開しております。


モールECを定義する

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皆さんは「モールEC」と聞いて、どんなECサイトを思い浮かべますか?まずは、モールECを大きく分けて2つに定義します。

ここでは、楽天市場、Amazonのような商品ジャンルに問わずに多品目を取り扱うモールを「総合モールEC」、ZOZOTOWN、メディア運営のEC、ギフト・スイーツ・お酒のような専門商材のECなど、特定の商品ジャンルに特定したモールを「専門モールEC」と定義します。


モールECに出店すべきか考える

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1. 粗利率を確認する

モールECに出店すべきかどうか判断するには、自社ブランドの粗利率を確認しましょう。例えば、粗利率が40~50%より低い場合は、そもそもモールECに出店しないことをオススメします。私の経験や聞いている話をベースにすると、総合モールの販売手数料は20~30%ほど、専門モールECの販売手数料は20~40%ほどだからです。さらに、最低でも売上に対して10%ほどの販管費(人件費、配送・物流費など)が必要ということも忘れてはいけません。


2. どんなブランドでありたいか?

自社のブランドをどれくらいの規模まで拡大したいか、顧客との距離感やブランドとしての濃さを決める or 見直す必要があります。ブランドとしての世界観を保っていきたい、顧客とのコミュニケーションを密にとっていきたい、ブランドが薄めたくないことを優先するなら、モールECへの出店はお勧めしません。顧客データやマーケティングデータの取得は一部に限られますし、サイト上のサービス・UIはモール側に依存するからです。

一方で、より多くのお客様に手に取ってもらいたいなら、選定した上で出店した方が良いでしょう。各モールECサイトにはすでに利用しているユーザーが存在します。そこに出店することで「商品認知→商品購入→利用→ブランド認知」をしてもらえるチャンスがあります。


3. 運用はできるか?

自社ECサイトと比較すると、一定割合の販売手数料、モールに存在するユーザーを呼び込むための広告費、モール独自の運営オペレーションなどが増える可能性があります。

モール全般の運営オペレーションに関しては、サポートサービスやツールの登場により、10年前より労力は減っているのは間違いありません。例えば、総合モールECではネクストエンジン等のような受注や商品マスタ、在庫を一元管理が出来るシステム。さらに倉庫側のシステムと連携するシッピーノといういうツールや、Amazonが提供するフルフィルメント by Amazon(FBA)を使えば配送の自動化も可能です。ファッション専門モールECに対しては、ダイアモンドヘッド社やエクステンシス社が提供する商品マスタ連携ツール、在庫連携ツールがあります。

ただし、それでも売上を最大化するには、そこに何かしらの人手が必要になってきます。仮に在庫連携しても、複数モール各店舗の売れ筋を分析して商品を確保だけに労力を費やしてしまう場合も少なくないです。


モールEC出店 4つのポイント

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「モールECに出店する」と決まったら、次は「どのECモールに出店するか」を選定していきます。流通規模が大きいモールECに出店すれば多くのユーザーに接触できる可能性はあるものの、すでに実績をあげている競合店の数も多くなります。

選定する上で4つのポイントがあると考えています。

1.自社の商品自体が独自性を出せているか
2.自社商品のターゲットとなるお客様がどれくらい想定できるか
3.各モールEC自体の特性・大枠のロジックを理解したか
4. サイト内での工夫の余地がどの程度あるか


(1.自社の商品自体が独自性を出せているか)

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出店するモールECで既に代替商品が存在している場合は「価格競争」になる可能性が高いです。

例えば、あなたが楽天市場で「水」を買うことをイメージしてみてください。特にお気に入りの商品がなければ、「送料無料で一番安い商品」を選ぶのではないでしょうか。商品自体に競合優位性が少ないのであれば、売り方や交渉によって成果につなげる必要があります。この場合は、専門モールや交渉可能な新規モールへの出店からスタートするのがよいかもしれません。

一方で自社の商品にオリジナリティがあれば、楽天市場やAmazonのようなで大規模モールでもチャンスがあります。


(2.自社商品の対象となるお客様がどれくらい想定できるか)

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こちらはモール担当者へのヒアリングが中心となります。ここでの注意点は「商品カテゴリ売上=自社のターゲット」ではないということです。

例えば、コンタクトレンズだけをとっても、最安値ばかりを探すユーザーしかいなければ、全国に店舗を持つメガネスーパーの安心感は伝わらないです。20代中心のアパレルが売れていても、単価が安いヤスカワ系ばかり売れていては、中価格帯のブランドは中々買ってもらえないですよね。結果数字だけでなく、中身の情報を仕入れることが大切です。


(3.各モールEC自体の特性・大枠のロジックを理解したか)

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一般的に「総合モールEC」は価格競争が起こりやすいので注意が必要です。代替商品が多い場合、他商品と差を付けやすいのが価格になってしまうからです。また、モールによっては、サイト内のユーザーの行動が異なる場合があります。

例えば、サイト内検索が商品にたどり着くメイン導線だったとしても、「商品名を検索」「ブランド名を検索」「特典(送料無料)を検索」など、どこからの流入が多いかによって、どんなニーズが多いかが浮き彫りになります。

ブランド名検索が多いモールに、立ち上げ間もないブランドが出店しても、苦戦するのは容易に想像できますよね。実際、「サイト内検索」が起点となるモールECは多いため、掲載順位のロジックは大まかに抑えておきたいところです。

例えば、楽天市場内で商品詳細ページにたどり着くための主要動線は検索です。その検索結果における掲載順位のロジックには「売上規模」「アクセス数」「キーワードの適合性(SEO対策)」「レビュー数」などが重要視されると言われていますが、特に「リアルタイムの売上」の影響力が大きいと聞いています。そのため、買ってもらいやすい価格、十分な在庫の商品を用意して、そこに集客をかけて売上を最大化する方法は有名ですよね。ランキングに掲載されれば、さらに注文が加速する可能性もあります。

いずれにしろ、モールEC内で検索をするのは購入意欲が高い層なので、C Vアップに繋がりやすいです。社内で対策した上で、必要があれば外部にサポートを依頼する事を検討するのも良いでしょう。


(4.サイト内での工夫の余地がどの程度あるか)

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<引用:Qoo10

いくつかの競合ブランドの中から選ばれるような商品であれば、「サイト内での工夫の余地がどの程度あるか」も重要なポイントです。

総合モ―ルECや専門モールECの中でもZOZOTOWNなど管理画面を通じて出店者側が商品登録、トピックス作成など操作するサイトにおいては、自店のトップページや商品詳細はある程度工夫ができます。一方で、サイトトップ、カテゴリトップ、特集コンテンツといった多くの人が目にする売場は、モール側主導で編集が行われているようです。

総合モールECの場合は、キラー商品の価格を安くしその商品在庫を大量に用意して広告(またはメルマガやSNS)を出すことで、初速の売上を獲得し、ランキングに載れば商品単位で大きな売上を作ることができます。しかし、実現できるのはある程度一部の企業に限られます。この環境で、自社を目立たせるには、「イベントへの参加」がとても重要です。
例えば、楽天市場では楽天スーパーSALE、専門モールECでもセールやクーポンイベントなどが存在するので、イベントを広告と捉えて、参加する事は有効です。割引については、自身のブランド・商品特性に応じて見極める必要があります。

一方、専門性のある中小モールECの特長は「交渉余地」があることです。
例えば、「過去初めて○型の商品を先行予約上限なしで行うから、目立つ場所にバナー掲載とメルマガの掲載をお願いしたい」というような交渉を受け入れてくれる場合があります(価格メリットや在庫金額があると確度が高まります)。
このようにモールECでは、出店者の工夫次第でチャンスが生まれます。現在、この種のモールが減っていることは間違いないですが、チャレンジするというのも1つの手です。


自社ECとモールECの使い分けを考えよう

モールの違い

例えるなら、「自社ECは路面店で、モールECは文字通りモールにテナント出店している」イメージです。モールは共通ポイントや、店前の人通りの多さ、大々的なイベントが魅力的ですが、一方で、きめ細かいサービスを行うには限界があります。

とはいえ、ECでもチャネルのポートフォリオは必要なので、自社ECとモールの使い分けを考えましょう。企業としてのEC事業の配分を見ると、モール依存度が高い企業が多いのは事実です。もし、自社ECを強化していきたいのであれば、短期的にモールECで得た利益を、自社ECに投資するのがベターです。

最後になりますが、モールEC各社には、出店企業の工夫の余地で売上を高められるような仕組みの構築を求めたいです。


※本記事の引用・二次利用について

この記事を勝手に引用、二次利用していただくのは構いません。媒体やイベント主催の方は、メルマガなどで配信していただくのもOKです。

ただし、引用元記事のリンク明記をよろしくお願いします。


原文 / ECエバンジェリスト 川添 隆(Twitter:@tkzoe
テキスト編集協力 / 遠藤 迅(Twitter:@jinjinsaisai
総合EC支援会社に勤務する20歳。

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