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「動画×スタッフ×コマース」ツールをざっくり解説!導入する前に見るべきポイントは?

ECビジネスの可能性を布教し、全国のEC担当者を応援するEコマース先生(旧Eコマースエバンジェリスト)の川添 隆(Twitter / YouTube)です。

デジタルマーケティングにおいて動画活用は常識になっていますが、日本のEコマースにおいても動画活用の2つの波がきています。


Eコマースにおける動画活用の2つの波

1つ目の波は、2020年4月以降のコロナ禍対策としての「オンライン接客」の流れです。それ以前は、なかなか企業の中で定着していなかったインスタライブやライブコマースは、2020年4月以降に注力施策になりました。その結果、2021年においてライブコマース配信支援ツールが乱立しています。
※オンライン接客の詳細は下記をご覧ください

2つ目の波は、2021年3月からの「動画×スタッフ×コマース」ツール乱立の流れです。下記のように続々と新たなツールが登場しています。

・2017年からInstagram投稿をECサイトに投稿できるツールvisumo(ビジュモ)が動画やライブコマース機能を追加
・2021年3月にストーリー型オンライン接客ツール「ザッピング」がリリース
・2021年3月ごろから、アメリカの動画SNSプラットフォームFirework(ファイヤーワーク)が、動画をECサイトに投稿できるツールを提供
・2021年4月から、STAFF START(スタッフスタート)が動画接客機能「PLAY」をリリース

オンライン接客という流れ、またInstagramなどのSNSに投稿した動画やショート動画をスムーズにECサイトに取り込む流れがあり、それぞれで異なるツールが登場してきたのが、ここ1年間の動きです。


「動画×スタッフ×コマース」ツールをざっくり解説!導入する前に見るべきポイントは?

ツールが乱立したことにより、いつものように「動画活用にはどのツールがいいんですか?」という企業担当者を悩ませる現象が起きています。特に、ライブコマースツールはわかりやすいものの、2021年3月以降の「動画×スタッフ×コマース」ツールは違いを見極めるのが難しいです。

ということで、「動画×スタッフ×コマース」ツールを代表する、スタッフスタート「PLAY」、ザッピング、visumo、Fireworkに関して、Eコマース先生目線での力点や特性をざっくり記載します。
※以下は、あくまでも川添個人の見解です。


■ STAFF START(スタッフスタート)「PLAY」

・サービスの存在意義:店舗スタッフが活躍できる環境の提供
・背景:店舗スタッフによるオンライン接客の文脈で動画機能が登場
・機能の力点
 *店舗スタッフがスムーズにコンテンツを投稿できるような管理画面のUI設計
 *コンテンツはスタッフ軸で表示するサイト上のUI設計
 *スタッフごとの経由売上を集計できる
・表現例:ビームスのVIDEO
(スタッフスタートは未導入、LiveAct® PROを導入)


■ ザッピング

・サービスの存在意義:オンラインショッピングでも、店舗のような「予期せぬ商品に出会い」を提供すること(アパレルに関わらず)
・背景:ECにおけるショッピング体験の違和感を見直す文脈でサービスが登場
・機能の力点
 *ストーリー型動画の連続再生が可能(ここからの発見がメインの体験)
 *Instagramライクなサイト上のUI設計(動画に設置できる掲載リンクの見え方)
 *投稿アカウントごとの経由売上を集計できる
 *料金体系は再生に関わる金額(基本料金+データ転送の従量課金)
表現例:アダストリアのVIDEO
(ザッピングを導入)


■ visumo(ビジュモ)social curator/video commerce

・サービスの存在意義:既に発生しているUGCを自社コンテンツに取り込むこと ※UGCとは? User Generated Content「一般ユーザーによって作れられたコンテンツ」
・背景:Instagram連携ツールが先行して海外で登場/UGCがブランドのコンテンツになっている文脈でサービスが登場
・機能の力点
 *ありものコンテンツ(静止画・動画)をいかして、EC掲載商品との紐づけができる
 *Instagram連携によるコンテンツ再活用がやりやすい
 *visumo経由のコンテンツは自動的に一覧化できる
・表現例:unicoのコーディネート
(visumoを導入)


■ Firework(ファイヤーワーク)

・サービスの存在意義:新しいストーリーテリングの形を提供
・背景:「米国版TikTok」とも言われるショート動画アプリFireworkのプラットフォームをいかしてB2Bツールとしての展開
・機能の力点
 *ありもののショート動画をいかして、EC掲載商品との紐づけができる(今のところShopifyのみらしい)
 *独自のサイト上UI設計(動画に設置できる掲載リンクの見え方)
 *無料プランあり
・表現例:FOO TOKYOのSTORIES
(Fireworkを導入)


「どのツールが良いか?」ではなく「当社の目的とツールの力点が近いのはどれか?」

「手段が目的化する」というのは、どんな領域でも起こりえます。企業として「なぜやるのか?」という目的を定めるのは重要なものの、ツール提供側が「なぜサービスを提供しているのか?」という視点も必要です。

“ツールの差”を知るには、「このツールは何を叶えるために作られているのか?」とぜひ聞いてみてください。機能的に同じであっても、力点の違いによって、フロントや管理画面のUIや料金体系の違いに関わるからです。

今回紹介したツールに関しても、「どちらが良いか?」ではなく「当社の目的とツールの力点が近いのはどれか?」で選ぶことをオススメします。
※とりあえずテスト導入であれば、使ってみることを優先するのもありです。


ちなみに、オンライン接客としてのライブ動画を初めて見たい方は、下記の記事をご覧下さい。


Eコマース先生 川添 隆(Twitter:@tkzoe

▼YouTubeチャンネル: 川添隆のいいコマース学
▼仕事術やデジタルトレンドをゆる~くお話しする音声コンテンツ(Radiotalk): 川添隆のいいコマース学ラジオ
▼自著:「実店舗+EC」戦略、成功の法則

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