ZOZOはEC支援事業で「業界トップたる振る舞い」ができるか?/東急ベルは"家ナカ"サービスを基点に据えられるか?【日刊ZOE NEWS】
10月26日(金)の日刊ZOE NEWSで取り上げるのは、下記のニュースです。
1.EC支援事業の差は“開発力”。ZOZOは「業界トップたる振る舞い」ができるか?
2.東急ベルは"家ナカ"サービスを基点に据えられるか?
EC支援事業の差は“開発力”。ZOZOは「業界トップたる振る舞い」ができるか?
ファッションECモールのEC支援事業における現在の戦略についてまとめてあります。
現在のブランド戦略・チャネル戦略において、「オンラインとオフラインの融合」や「チャネルシフト戦略」に向けて、下記のような体制を築いていくには、ブランド側のEC内製化は必須でしょう。
①自由度が高い物流体制
②「選択→購入→使用」の顧客時間をつなぐための自社プラットホーム構築
③リアル店舗との在庫連携体制
④チャネルフォーマットの変革(デジタルでつながることを前提とした店舗フォーマット、リアル店舗通しのポートフォリオなど)
※④に関しては下記の記事の後半に書いています。
しかし、「運用代行」はなくなるわけではありません。
ブランド側の企業規模を問わず、「時間とリソースを買う」意味あいで、あるタイミングまでは必要な局面があります。
特に、ノウハウと行動力を持つ事業家資質をもったEC・オムニチャネル責任者や、運用人財の絶対数が不足している中では、「リソースを買う」ことも必要だと考えます。
■ これからのEC支援事業はどう動く?
過去の運用代行全盛時代から変わったことは、フルフィルメント(運用から物流まで)の代行から、「企業状況によって部分的な代行」が提供できるようになったこと。
「蜜月の関係」からパートナーになれるかが肝でしょう。
また、以前よりも各社特徴が出ていますが、“機能的な差”は作りづらく、“体制面が差”が特徴につながると捉えています。
ZOZOは“強者の戦略”として「在庫は連携でもらうが、他のモールには連携しない(在庫は出さない)スタンス」のため、ブランド側は引き気味。
需要予測についても、現時点でのディープラーニングで追いつけないとされる“トレンドアパレルの領域”までできるなら、機能単体でツールとして販売してもらったほうが、アパレル業界全体の回復につながるでしょう。
「業界トップたる振る舞い」に期待しています。
そして、ここでも成長著しいCROOZ EC Partners。
「複数ブランドのモールEC」のシステム提供と運用・物流体制、システム開発体制を提供できるのが強み。
ここにきて、「ゲーム領域を通過した開発力」が効いてきています。
運用代行において、ブランド側の不満が出やすいのは、運用スピードとシステムの追加開発。
特に後者は、順番待ちになることが多く、自社ECの成長をとめてしまいます。
そのため、AMS、BBF、ダイアモンドヘッド、SCSKプレッシェンドなどを含めて、最終的に差をつけられる部分は、“システム開発力”、“物流投資による効率化”でしょう。
本当に自社EC支援に注力するには、その領域のみでエンジニアが数百人は必要。
既存のモール事業と開発をかけて持ちはできなくなるのが見えている中で、グローバルでのエンジニア争奪戦に勝てるかが勝負の分かれ目だと思います。
東急ベルは"家ナカ"サービスを基点に据えられるか
ハウスクリーニングや家事代行などの"家ナカ"サービスを基点として、他の生活用品なども一緒に届けるというのは、配送コストを吸収できるはずなので合理的な運営になります。
しかも、電鉄主導であれば、沿線情報誌だけでなく交通広告なども確保できるはずなので認知獲得も問題なさそうです。
逆に言えば、これまであった3ショップを並列にすると危険なので、そのあたりの戦略がサイトの成否を決めそうです。
夫婦共働き、高齢化という環境にある中で、"家ナカ"サービスの需要はまだ伸びていくのではないでしょうか。
そのため、最終的には、需給に応じた「在庫=人のリソース」確保が、「ギフト日和 バイ 東急ベル」の戦略として、最重要になるのではないでしょうか。
ECエバンジェリスト/川添 隆
▼更新速報を受け取るならLINEにご登録ください↓
ZOE note公式LINE
-------------------------
▼オンデマンド書籍
キレイなECの戦略論ではありません。
前半は「アウェーの中でどのように実現していくかの方法論」、後半は「先駆者たちの方法論」を書いております。
「実店舗+EC」戦略、成功の法則 ECエバンジェリストが7人のプロに聞く
▼オンラインサロン
10代~40代までの濃いメンバーで、主にECをテーマとした議論や交流をしています。私に対する質問は惜しみなくお答えします。
興味のある方はコチラ↓
『川添隆EC実験室(ZOEラボ)』