Eコマースは進化の序章に入った!2021年EC業界の総まとめ
オンライン・オフラインをつなぐコマースプロデューサーかつECビジネス周りを伝える・応援するEコマース先生の川添 隆(Twitter等のSNS一覧)です。
個人的な見解ですが、2021年の動きを振り返ると、Eコマースにおいて重要な節目になるのではないでしょうか?今後3~5年で、レガシーな購買体験が新しい当たり前に移り変わっていくかもしれません。
現代Eコマースはレガシーな購買体験
これまでのEコマースのUI・UXはレガシーそのものでした。決して“悪い”という意味合いではありません。
「トップページ→カテゴリ選択→商品一覧→商品詳細ページ→カート→注文入力→注文完了」という流れは変わりませんし、商品詳細ページなどはどのカートを使ってもほぼ画一的な構成です。
これが現代Eコマースの大前提。安心してショッピングできるようになりましたが、まだまだオフラインでのショッピングのような“ワクワク感”は弱いですよね。
そういった購買体験を覆し、実験段階を終えて次のフェーズにいった技術・売り方・場所が、2021年は多く見受けられました。
キーワードは“進化の序章”
2021年のEコマースにおけるニュースはワクワクするものが多かったと感じています。それは、私自身が「Eコマースの体験って固定化されすぎてつまらないな~」と感じていたからでしょう。
そのため下記で紹介する5つのトピックスは、“Eコマースの進化”特に“ユーザー体験の進化”を感じさせるものでした。ユーザー体験が変わるということは、当然ビジネスの構造自体も変えざるをえなくなります。
下地とは言えないほどの規模になっている取り組みもありますが、さらに3~5年すると“次の当たり前”になっていくでしょう。
ドウインのコマースや日本のツール提供などライブコマース急成長
ドウイン(中国でのTikTokのサービス名)によるコマースの流通総額は、グローバル市場において5〜6位の地位になっているようです。またTikTokや米国FireworksなどがShopifyと連携したことで、ライブコマースの影響は大きくなっていくでしょう。
Netflixによる自社ブランド商品の展開とコマース参入
これまでメディアのECは大失敗してきました。それは「人がいればモノが売れる」という短絡的な発想だったからでしょう。
一方で、NetflixはEコマース単体での収益化よりも、コンテンツやIPをPRするために使うようです。ちなみに、私は世界初コラボとなったビームスのパーカー第二弾の方を買ってホクホクしています(笑)
どこまで本格的にコマースを使っていくのかまだわかりませんが、ハラハラ・ワクワクしながらコンテンツを観ている間に「いつの間にか買っちゃった」という体験を提供してくれるかもしれません。その観点で大変注目しております。
Shopify完結でのヘッドレストコマース提供を発表
アメリカではヘッドレスコマースに特化したノーコードツールが存在するほど、多くの企業が対応していると聞きます。
ヘッドレスコマース自体は「単にECサイトのページとカートを分けることで自由な表現ができます」というわけではなく、もっと広い活用ができます。ページ側はアプリ、サイネージ、IoTデバイスなどでも可能なので、先ほどNeflixの部分でふれた「いつの間にか買っちゃった」体験には、ヘッドレスコマースは必要になるでしょう。
一方で管理が煩雑になるデメリットがあるようです。Shopifyで完結できることで、その煩雑さが解消されるだろうと言われています。
バーチャルマーケットへの大型投資決定やFacebook→Metaなどメタバースコマース
Facebookの社名変更により、一気にメタバースへの注目が集まりました。しかしながら、すでにその中でのコマースは着々と作られていたのです。
代表するのが日本のプラットフォームである“バーチャルマーケット”です。ビームスは複数回出店し、メタバースならではのショップと商品を展開されました。代表の舟越さんとお話しする中で、メタバースコマースの6つの特徴が見えてきました。
はっきり言って、メタバースコマースが一般化すると、完全にゲームのルールが変わります。来る!来ない!両方議論されていますが、私は楽しみにしている1人です。
続々とブランド企業がNFT商品をリリース
コカ・コーラやNIKEのようなグローバルブランドだけでなく、日本企業のブランドもNFT商品の展開が増えてきました。
ただし、日本ブランドは日本に閉じたプライベートチェーン(LINEなど)での展開が多い印象で、グローバルブランドはパブリックチェーン(イーサリアムなど)を使ってOpenSeaなどのNFTコマースプラットフォームで販売しています。
現時点では、現実世界のアートや商品がNFTになっているケースが多いです。今後はよりデジタルならではのクリエイティブや、物理や時間の概念を崩す作品がより増えてくるのではないでしょうか。
要は面白くなるってことです。
その他注目のトピックス:メルカリによるEC改革、米国における“ゴーストリテーラー”
毎日多くのニュースがある中で、2021年にEコマース領域で気になった2つのトピックスをご紹介します。
メルカリの取り組みはB2CのEコマースのすそ野を広げる
2020年までは決済や商品マスタなどの領域でB2Cとの連携やメルカリポストの設置に注力してきました。2021年のメルカリは、B2CのECプラットロームの提供や、物流に進出するなど、Eコマースにおける領域でビジネスを広げる一手をスタートしました。
メルカリShopsはB2CのEC出店のすそ野を広げました。また、メルロジは出荷~配送事業者に受け渡す領域において、四方良しを目指していくようです。
特にメルロジは集荷や配送といったユーザー体験を変えたり、商流の変革を起こす可能性があるので、来年以降も注目したいです。
ゴーストリーテーラーによるRaaSの提供
日本でも“ゴーストレストラン”や“ゴーストキッチン”という業態が増えてきましたが、それとは構造が異なるようです。
この定義では完全アウトソース or 自立支援型で、店舗を利用料(手数料)形式で運営できるようなイメージのようです。日本では、マルイのような一部のデベロッパーが近いことをやっていますが、単独のサービスとして今後増えてきそうなので注目したいです。
転職が活発だった1年間
2021年は例年以上にビッグネームの転職が多かった印象だったので、noteにまとめて継続的に更新してきました。
2022年もまだまだ動きが続くでしょう。
2022年以降オンラインショッピングに“楽しみ”が織り込まれていく
これに関しては、あくまでも私が最も興味あるテーマという前提です。
上記で紹介したような技術や売り方が進化したことで、「旅行で街を巡ったついでに自然とお土産を買ってしまった」「美術館で展覧会を見た後にその余韻でお土産を買ってしまった」というような、興味や好奇心を満たす体験とショッピングの境目がなくなっていくと考えています。むしろなくなるようにしていきたい!
私はこの観点で、メタバースコマース、Netflixのコマース参入、ライブコマースなどの動きを見ています。
一方で、今後もブランドの信頼や企画力は大切です。むしろ、今以上に求められることになります(詳細はメダバースコマースの記事に書いています)。商品を作ってから売り方を考えるってのは、どんどん古い考え方になるでしょう。
2022年以降は「これまでのEコマースの常識」を崩していくような取り組みが、より増えてくるでしょう。楽しみにしております。
終
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