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ECサイトへ集客を強化したい!その注意点とは?

オンライン・オフラインをつなぐコマースプロデューサーかつECビジネス周りを伝える・応援するEコマース先生の川添 隆(Twitter等の一覧)です。

この「ZOEの一問一答編」は、主に店舗メインの企業におけるEC事業を対象に、過去の寄稿記事を再編集したシリーズ。


はじめに(こんな人にオススメ/記事の概要)

今回は、下記のようなコンテンツです。

■ 対象となる人
・比較的ECの経験が浅い方
・漠然とEC集客に悩んでいる方
・具体的な集客手法を見直したい方
・オンラインとオフラインにおける小売業の動向を知りたい方

■ 内容
EC集客で押さえるべき考え方と事例を示すコンテンツ
(自社ECを中心としますが、モールECや実店舗にも転用できます)
アドテクを含めた広告中心に手法を探されている方は、MarkeZineLISKULなどを読まれることをオススメします。

前回の記事を見られていない方は、下記から読んでください。
毎日が“day 1”ーEC売上アップのために何から改善に取り組んだらよいか?【ZOEの一問一答編】

■ 該当する戦略のレイヤー
マーケティング戦略から販売戦略まで(下記の紫の枠)

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「売れる店」にしながら、できる集客改善はやるべし

おさらいも含めて、私の経験で学んだ「売上アップの方程式」は
販売手法(サービス設計、訴求、販促活動など)×在庫・MD×集客
の掛け算です。

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「売れるお店」を作る、すなわち買いやすい環境やリピートしやすい環境をつくった後に、集客量を増やしたほうが合理的ですよね。そのために、販売手法と在庫・MDの改善の着手を優先したほうが良いのですが、もちろん、今できる集客の改善は、すぐに手をつけてください。

例えば、メルマガの件名、内容、配信頻度を変えること、LINE公式アカウントを開設して友だちを増やすこと、WEB広告をサイト上の施策と連動させることなどは、今からでも改善することで結果につながりやすいです。
それを前提として、集客で注意すべきポイントを解説します。


ECの集客で注意すべき4つのポイント

ECの集客で悩んだら、次の4つのポイントを通じて、集客施策を考えていくことをお勧めしています。

1.「掛け捨て」と「積み立て」を理解する
2.集客とは、販売手法と在庫・MDと一体である
3.ビジネスモデルに合った広告を選ぶ
4.ユーザーに合わせてツール・チャネルの優先順位を決める


「掛け捨て」と「積み立て」を理解する

掛け捨ては、労力を含めたコストをかければ、即時集客に利用できます。しかし、必ず欲しい結果が得られるわけではなく、かつ成果が積みあがっていくことは約束されていません(ノウハウは蓄積されますが)。

一方、積み立ては、集客として機能するまでに一定の時間が必要ですが、コツコツやっていると、積みあがっていくというものです。

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私の場合は下記のように定義しています。

〇掛け捨て:WEB広告全般
〇積み立て:メルマガ、LINE公式アカウント、ソーシャルメディア(SNS・ブログ)、リアルな口コミによる紹介、SEO

「ECに集客が必要だから、SNSを活用しよう」という話題をよく聞きますが、集客が必要な時間軸や規模はすでに決まっているはずなので、それを加味したうえで、掛け捨てと積み立てを使い分けましょう。

また、集客ありきではなく、考えるべきは「届けたいお客様」はどんな方でなのか?ということ。そこがクリアになれば、その人たちが「どこにいるか?」がある程度見当がつきやすくなり、メディアやツールの選定、コミュニティやトライブの選定に役立つはずです。


集客とは、販売手法と在庫・MDと一体である

集客の中でも、検索以外の広告・メルマガ・LINE経由のCVR(購入率)は、サイト上の販促によって大きく変動しますよね。現時点の売上につなげたいのであれば、どの集客手段を選ぶかよりも、「サイトに来ていただくための理由=販促や新商品など」を用意することの方が、売上にインパクトがでる可能性が高いです。ここでは、LINEの配信クリエイティブを例に用いながら、一部解説します。


■ MD・在庫と集客を連動する

新商品発売や新シーズンのビジュアルなどは広告と連動することがありますが、「MD・在庫」の情報はCRMにおいてテッパンコンテンツと言えるでしょう。

〇 新商品の発売
新規・リピーターのユーザー、どちらにとっても鮮度の高い商品は、サイトに訪れるキッカケになりますよね。
私がアドバイザーを務めるアパレルECでも、新着商品のページを閲覧しているユーザーのCVRの方が、全体のCVRの1.2~1.5倍ほど高いです。

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<引用:北欧、暮らしの道具店LINE公式アカウント>


〇 旬な情報の公開
例となっているビームスの配信は、「店舗でのカタログ配布スタート」というコンテンツなので、店舗送客の役割でしょう。しかし、このような「商品以外でも“旬な情報”」というのは、サイトに訪れるキッカケになりますよね。コンテンツがリッチ(量・質の観点で)という信頼があれば、リピーターは待ち望んでいることもあります。

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<引用:ビームスLINE公式アカウント>


〇 再入荷や在庫変動
一般的には、完売した商品の再入荷は、売上につながりやすい情報の1つです。また、ZOZOTOWNなどでは、お気に入りした商品の在庫が残り1点になるとLINEやメールで通知がきます。ECは小売と考えると、在庫変動の情報は、サイトを訪れるキッカケになります。


■ 販売手法と連動する

これは広告にもCRMにも、皆さんすでに活用させれているはずです。

〇 クーポンの実施
ばらまき、限定など条件は様々ですが、クーポン実施はわかりやすいキッカケです。ただし、やりすぎると特別感がなくなっていくので注意が必要です。

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<引用:メガネスーパー公式通販サイト LINE公式アカウント>


〇 セールの実施
これもテッパンコンテンツであり、集客に最もインパクトをもたらすことは言うまでもありません。ただし、現在はいろいろなECサイトでセールの機会が増えているので、やるとしても工夫が必要でしょう。

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<引用:トイザらスLINE公式アカウント>


〇 便利な機能・サービス
決済手段や配送方法の豊富さ、サイト独自のサービスなどは、アピールポイントになります。一方で、ブランドや業態の自社ECサイトであれば、「サービスがあるから買う」よりも「欲しいモノがあるから買う」というニーズが多いと捉えています。ユーザーが求める商品があった上で、それを後押しする付加情報として使えると考えています(例:リスティングの説明文など)。


ビジネスモデルに合った広告を選ぶ

数年前にシンクロの西井 敏恭さんが、「自社ECのビジネスモデルにあった広告を選ぶ必要がある」と言われていたのを聞き、その言葉をビビッと響きました。自分自身の経験を言い当てており、かつ「新しい広告を常に探さねば」というプレッシャーからある意味解放された感じがしたからです。

この言葉を受けて、私が作った図が下記です。

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この図の軸には入れられませんでしたが、“リピート率”という観点も重要です。その究極系は(1)の健康食品や一部の化粧品でしょう。特に健康食品は、初回のサンプルorお試し価格商品と定期購入を用意した“2ステップ購入”という手法があります(今はまた変わっているかもですが)。利益率とリピート性が高い商品かつ決まった頻度で購入する場合は、定期購入に当てはまりやすくLTVも計算しやすい。そういった場合は、初回と定期のタイミングで高いCPAを設定できるため、広告手法の選択肢も多いです。

一方で、利益率が低くかつ多品目の場合は、1つの商品をリピートするケースは稀です。(2)(3)は比較的商品の入れ替わりも早いので、商品よりもブランド・業態・屋号などで選んでもらう必要性が出てきます。こういったケースは、リスティング広告、リターゲティングを主としたディスプレイ広告、アフィリエイト広告あたりに選択肢が絞られます。実店舗を持たれている企業・ブランドの場合は、「実店舗は広告」と捉えて、そこからECへの集客をもれなくできるようにしましょう(指名ワードの検索、SNS、LINEなど)。

代理店の方から「DSPでクッキーリストを貯めて、リターゲティング広告をつかうことで、ターゲットとなる新規客はとれますよ」という提案を受けたことはないでしょうか。この場合、合算したCPA算出が必要ですし、CPAは高くなる傾向にあります。新規客の購入につながる可能性はあるとは言え、中長期的にそれをペイできる業種・業態というのは、最初から限定されています。

事業者側は広告の提案に振り回されないようにしましょう。また、提案する側の方々は、クライアントの事業モデルを理解しましょう。


ユーザーに合わせてツール・チャネルの優先順位を決める

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SNSやLINEが登場し、生活者の利用するメディア・ツールが増えて以降、企業側の集客工数は増える一方です。一方、多くの企業では社内リソースが限られているはずなので、チャネルの優先順位づけと何に重きを置くかを明確にする必要があります。

チャネルの優先順位づけは、現時点での流入経路別の売上・CVRを基にしますが、それとともに「当社ブランドの情報はどこから収集しますか?」というようなユーザーアンケートのデータを参考することもオススメします。例えば、「Googleアナリティクスでの計測ではInstagramがEC売上に直結していない、一方で“当社ブランドの情報はどこから収集しますか?”というユーザーアンケートではInstagramがかなり上位にくる」という現象はあり得ます(実際にレディースアパレルでありました)。売上の定量と、ユーザー意見の定量両方を見てみましょう。

何に重きを置くかは、極論「質と量」どちらを担保するかということです。リソースが限られている場合に、質と量両方を維持するのは困難です。例えば、LINEの場合は配信頻度を担保するために、クリエイティブは簡単にする。逆に、ブランドの世界観を使えることが目的だから質を重視して、配信頻度を落とすのもあります。「どこまでクリエイティブをサイトと連動するか?」という観点では、広告でも同様のことが言えますよね。

特に、SNSはプラットフォーマーごとにロジックが存在するので、そこを理解した上で、優先順位付け、質と量の重みづけの両方をセットで考える方がよいでしょう。

とにかく、選択肢と業務量が増えてきた集客の領域こそ、“明確な意思”が必要です。他社事例よりも、お客様と向き合うことに必ずヒントがあります。


メガネスーパー・ガールズアパレルにおけるEC集客の考え方・選び方

■ メガネスーパーのECの場合

コンタクトレンズが売り上げの95%以上を占めています。コンタクトレンズはメーカーからの仕入れ商品で、なおかつ他の業態でも同じものを販売されています。そのため、WEB広告は競合性が高く、商品の価格競争が激しいという背景があります。一方で、メガネスーパーグループの実店舗と創業40年以上の看板をもっています。

広告などは指名キーワードを中心に集客し、とにかく「来訪されたお客様がなるべく注文しやすいような店づくりをする」というのが集客の考え方の軸です。

また、メルマガに関しては、「情報を送る」というより「常にお客様の購入動線を敷いておく」という捉え方をしてきました。手持ちのコンタクトレンズがうっかりなくなった時のための購入動線を、常にメルマガやLINEでお知らせしており内容よりも頻度に重きを置いてきました。現在は、LINEは重要チャネルなので質も高めようとしていますし、集客は次のフェーズのための改善最中です。

※詳細は「メガネスーパー EC」の事例を検索してください


■ 前職ガールズアパレルのECの場合(当時)

基幹ブランドのLIP SERVICEは、メルマガが来ないとクレームが来る現象があり、基本的には「お客様の方が待ちの状態」だと捉え、その上でお客様によって使うメディア・ツールが異なることを前提としていました。

そのため「全てに“情報の網”を張りめぐらす」というのが集客の考え方の軸でした。

ブランドサイト、ECサイト、SNS、LINE公式アカウント(旧LINE@)、ブログ、アプリ、広告、実店舗など、どこにアクセスしても、今のキャンペーンを知ることができるようする。そのためには、商品販売日やキャンペーンの実施日はECと実店舗でタイミングを一致させることに注力し、その情報は網羅的に同タイミングにすることを徹底していました。そうすれば、待ち状態のお客様がどのチャネルに訪れたとしても、最新の情報を得ることできます。


最後に

「ECへ効率的に集客したい」というのは永遠に付きまとう課題です。しかし、現実的に実行していくには優先順位付けが最重要。そこに必要なのは、原理原則・プラットフォームでのロジック・作法などの知識「こうしていきたい」という意思です。

集客の具体的な手法の事例、プラットフォームのロジックといった情報は色んな所で見ることができるはずなので、具体的な手法の一歩手前をぜひ考えてみてください。


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オムニチャネル関連、EC戦略構築から実践に至るノウハウを下記にまとめております。


※本記事の引用・二次利用について

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コマースプロデューサー / Eコマース先生
川添 隆(Twitter:@tkzoe

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