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なぜ全国の“ECに関わる担当者”を応援する必要があるのか?

ECエバンジェリスト川添 隆です。今回は、ECエバンジェリストとして、なぜ全国の“ECに関わる担当者”を応援するのか?、そして、それが報われたエピソードを紹介します。


EC担当者が抱える孤独との闘いと癒し

すでに主要な流通チャネル(店舗や卸)が存在する企業における、EC担当者・責任者が孤独になりやすいという記事を過去に書きました。

企業における仕事が分業化している現代において、「社内の周りから理解されない」という経験は誰しもあるでしょう。しかし、特にすでに主要な流通チャネル(店舗や卸)が存在する企業の多くでは、EC・デジタル領域を「理解しよう」としてくれる人がほぼ存在しません。社内の事業進捗とスピードの早いデジタルトレンドに追いつきながら、分業化したチームの連携やマネジメントをしていくことが求められる中で、社内に相談できる相手がいないのは険しい環境だと捉えています。

これがEC専業の場合であっても、特に店長や経営者は、事業運営とチームのバランスをとりながら、商品仕入れやサービスや企画開発をしていく必要があるため、同様の孤独感はあるのではと思っています。

その孤独感を癒してくれるのは下記の3つではないかと捉えています。
〇 お客様の喜び
〇 同じ船に乗る仲間の存在 かつ 一緒に目標を達成した喜び
〇 理解や共感してくれる同業者としての仲間の存在

私自身もこの3つによって癒されてきた側ですが、それを乗り越えて結果を出してきた身として、直接会えなくても「理解や共感してくれる同業者としての仲間の存在」になれたらと考えています。


応援ははたして届くのか?…応援が届いたエピソード

6月上旬にネット担当者フォーラムのイベントで、作家・窯元の器を中心とした食器のECサイト「うちる」を運営する株式会社ユーチル 代表取締役 竹澤 秀明さんとトークセッションをやらせていただきました。

このセッションの最後に、私は下記のようなことをまとめとしてお話ししました。

https://youtu.be/5Dx2xPwrmwk

(竹澤さんの)奥様が一人でうちるを立ち上げられて、それを数年間続けられて今のECサイトになっている。その背景を知っているわけですが。そういった一人から始めたECサイトが、オンライン陶器市のムーブメントを起こすようなサイトになっているわけです。
(視聴者の)皆さんも、テクニックをどうしようかということを非常に悩まれていると思うんですけれども。やはり、お客様にどういう体験をしていただきたいとか、どういうメッセージを伝えたいかとか・・・担当している方の思いは必ずお客様に届くと思いました。それは、私自身の経験もそうですし、うちるの取り組みを聞いてもそう感じます。
大変な時期ですが、ぜひ思いを込めてモノ・サービスを提供していただければと思います。

これは事前に用意しておいたわけでもなく、大きな狙いがあったわけでもなく、うちるの取り組みを聞いて感想も含めて述べさせていただきました。その後、うちるの店長である竹澤さんの奥様がこのセッションを聴いていただき、下記のようなコメントを竹澤さんを通じて送っていただきました。

セミナー、聞きましたー。最後の川添さんの話、泣いてしまいました。ありがとうございました!影武者のような気持ちでセミナーを聞いていたので、立ち上げからの背景も汲み取って最後にコメントしてもらえたことで、今までの苦労も報われました。感謝の気持ちでいっぱいです。
単に批判や賞賛ではなくて、理解や共感して寄り添ってくれる存在というのは、本当にありがたい。

これを見て、本当に嬉しくて私も涙してしまいました。セミナーを通じて、こういったコメントをいただいたのは初めてです。このことによって「私の応援が届いた」と強く実感し、今もEC事業者の立場にありながら、「全国のECに関わる担当者を応援したい」という私の活動の“意味”を感じることができました。


他にもあった…応援が届いたエピソード

私が様々な取り組みをやる時に、協力をしてくれる仲間がいます。事前に本記事を確認してもらった際に、次のようなエピソードをいただきました。

【エース株式会社 EC責任者 北山 浩さんより】
「EC担当者の孤独」の記事は3回読みました。そして私も川添さんをはじめたくさんの諸先輩から励ましや助言・アイデアをもらい今があります。
その後、私がイーコマースフェアというイベントで登壇した最後のスライドで、「決して一人にならないでほしい、一人じゃないです。同士は沢山います。勇気をもって一歩外に出て諸先輩に頼ってください。」と話をさせていただきました。大きくうなずいた方が多く、このスライドが行動に繋がってくれたのではないか?諸先輩方より頂いた恩を少しは返せたかな?と思っております。
当時、川添さんからみて私は沢山のなかの一人であったかもしれません。しかし私にとっては、本当に近づけるだけでも嬉しいくらいのことでした。(2019年2月ツールベンダー主催のイベントでの初対面)
新しいことにチャレンジし続ける姿勢、やり遂げる意志の強さを感じ取り、自分や自社に落とし込み、少しではありますが進めたと思っております。そして、今こうして一緒に何かをしていこうという“仲間”にお誘いいただき本当に嬉しいです。
【株式会社TAM ECチームリーダー 大内 千佳さん】
私がTAMに戻ってきたのも「1人でも多くのEC担当者の味方になる」ことで「ユーザーにいい購入体験を届けたい」からでした。
元は事業者サイドでEC改善に携わることで、ECのUIを極めユーザーを幸せにすると決意し赤字の大手通販会社に飛び込みましたが、多くの別部署の荒波に揉まれ、フェアに相談できる相手もおらず迷子…まさに孤独でした。その時、TAM在籍時にお客さんに「大内さんと仕事すると楽しい」と言ってもらえた理由が「担当者の孤独に寄り添っていたから」なんだとわかりました。担当者さんに言われたことをイエスマンでやるわけでなく、同じ熱量で、会社の方針・担当者の意見・EC時流・WEB知識を踏まえて客観的に意見を言える外部のパートナーがいることが、WEB担当者にとって心強いことだと気づかされました。しかも、担当者さんは本心では(会社の方針とは)違うこと思われていたりして…しかも、その本心がユーザーにとって最良の案だったりするケースもある。
こんな熱量にまみれてTAMに戻った私でしたが、実は2018年の年末から2019年の春くらいまで色々あって「私本当にEC好きなのかな?」と悩んだ時があったんです。「ECのノウハウがあるから好きなだけなんじゃない?」とか。
そして、そんな時にZOE会やZOE祭で川添さんや皆さんと会う機会が増えて、ECの話をしてたら悩みが全部吹き飛んで、とにかくECについて話すのが楽しくって。大阪帰る時に「私EC好きやわ!」ってなりましたw
なので、川添さんには本当に感謝しています!!

お二方のエピソードもとても嬉しいものです。

私自身は常々「行動を変えるのは各人の意思決定。私が誰かを『変化させた』というのはおこがましい。“変化のキッカケ”を提供し、欲しい時にとってもらうのみ。」と考えています。私が発した何かのキッカケを受け取ってもらい、北山さんや大内さんが行動や気持ちの変化を起こされたことは、大変ありがたいことだと感じています。


コロナ禍でEC担当者へのプレッシャーは今後さらに増える

下記の記事にもあるように、実店舗からデジタルへのシフトは新型コロナウイルス感染拡大第2波への備えとなるだけでなく、多種多様なニーズを持つ顧客の要望にいかに応えるためのチャネル戦略として重要です。

ZARAやユニクロはこれまで以上に投資を増やし、デジタルチャネル強化のさらなるアクセルを踏むのは間違いないでしょう。また、この1年くらいは多くの企業においてECを含めたオンライン販売の期待値が異常に高まるのは間違いありません。

一方で企業内において、必ずしも皆がECやデジタル担当を好きでやっているとは限らないわけです。この業界のスタープレイヤーの活躍を見ると志願する人の印象が強いですが、意思と関係なく指名された人もいるわけです。ある意味“やらされ感”を背負ったまま、「オンライン販売の期待」という更なるプレッシャーを受けるのは、険しい環境になるのではと思っています。


“やらされ感”ではなく、“面白み”を感じてもらいたい

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私自身は27歳で、自ら選択して“EC専任の担当者”への道を歩みました。2010年当時は Googleアナリティクスもリスティング広告のことも理解しておらず、大きな後ろ盾や周囲に教育者がいたわけではありません。広告などの情報はググれば出てきましたが、当時のEC事業事例は、一部の大手の戦略か、楽天市場などのモール専業ECのノウハウしかなかった印象です。特に、実店舗メインの企業のECノウハウは転がっていませんでした。

前職のガールズアパレル企業の前半(経営改革前、ECチームの1スタッフの時)は、何度か心が折れそうになったことがあります。結果的に前職の後半に経営改革を契機に、私自身が責任者に抜擢され、仲間と共にあらゆる失敗を積み重ねながらEC事業を2倍にすることができました。しかし、これは結果論です。

前職の前半という状況でも、ECの仕事を通じて発見があったり、お客様の反応があり、それが売上として積みあがることに“面白み”を感じていたことを覚えています。大学・新卒時代に店頭販売をやっていた時にも同様の“面白み”を感じていたはずですが、ECの仕事の方が“担当者らしさ”を込められる自由度が大きいと思っています(企業によりけりでしょうが)。小さな部分にでも、思いを込めて変化を促すことに、ECの仕事の面白みや楽しさがあるのかもしれません。

また、実店舗をメインでやっている企業では、大きな山(組織)を動かすのが非常に難しいのですが、山が動くことで事業全体にインパクトを出すことも不可能ではありません。こういったダイナミックさも面白みの1つです。

個人的には、『ECの仕事やってるって、かっこいいね』と言われるような職業」にしていきたいと思っています。同じように誇らしく仕事をしている全国のECに関わる担当者を応援したいですし、もし消極的な担当者であれば少しでも“面白み”を見つけて欲しいです。

私個人としては、今回のエピソードのように「報われた」と言っていただけると嬉しいです。そのために、今後もECエバンジェリストとして活動していきます。

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川添 隆と皆で模索する、B2Cビジネス・働き方ノート | エバン合同会社
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