緊急事態宣言後のブランドや小売企業の活動を考える
非常事態宣言後のブランドや小売小売企業の活動のヒントとなればということで記事を紹介します。
本日4月7日、非常事態宣言が発令され、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象で期間は5月6日までの1か月間です。生命と医療の心配が最優先ですが、特に店舗を持つ企業・個人事業主は運営と雇用の継続が大きな課題になっています。
ロックダウンが発令されたフランスにおけるブランドの活動
こうなることは予見されていたので、先日、パリ在住でマーケティングやECの支援をされている松本 一紀さんとお話をする機会をいただきました。その時、共有いただいた話の抜粋が下記で紹介されています。
多くのラグジュアリーブランドは寄付を行ったり、マスク・消毒ジェルの生産をスタートしています。もちろん、ファッションの産業自体を守る必要がありますが、医療崩壊の状況に対して支援をすることを最優先にしていると考えられます。
ある程度体力のあるハイブランドはこのような策をとることが可能ですが、もう少し規模の小さいブランドはどのような取り組みをやっているのか。
その事例として、「ba&sh」を教えていただきました。期間限定で、EC売上の25%をフランスの病院に寄付することを発表しています。また、Instagramでは、#dailybash というハッシュタグで家での過ごし方などを毎日更新し、ユーザーも投稿しているようです。
また、BALMAIN(バルマン)、SALVATORE FERRAGAMO(サルヴァトーレ フェラガモ)、RED VALENTINO(レッド ヴァレンティノ)をはじめとする6ブランドのコミュニケーション事例が下記に取り上げられています。
日本の小売企業における準備
日本においても寄付や、通常マスクなどを生産していない企業が生産をするような動きが活発になっています。非常事態宣言の後は、先ほどの「ba&sh」のように、「閉ざされた生活をしている人向けのコンテンツ」を考えていかねばなりません。では、そういったコンテンツを、離れた環境でどのように生み出していくか?
この調査では、テレワーク実行が5.6%という数字が出ていますが、店舗での販売のような通常の業務がテレワークに向かない人が存在することは大前提です。
また、ECを展開している企業においては、通常営業ができる唯一の店舗としてECの存在に期待が集まっています。一方で、EC運営実務をできる人が増えているわけではいないので、少数の従業員にしわ寄せがきているという話しも聞いています(現時点での対処は難しそうです)。
各社の事情はあるかもしれませんが、特に店舗中心で運営している企業かつ未着手の場合は下記の用意が必要だと考えています。
1.全従業員とオンライン上のコミュニケーションが取れる環境を用意する
※「本部→店長」「店長→店頭メンバー」と分断されていることが多いので
2.マーケティングやECなど、コンテンツに関わる部門は、社外からでもブランドの素材にアクセス・共有できる環境を用意する
※社内サーバーに外部から入れないのはよくあるので
3.スマートフォンで完結できる業務とそのマニュアルを用意する
IT企業では当たり前のことかもしれませんが、店舗を中心とする企業では当たり前とは言えないからです。
継続的に、高難易度の課題に向き合わなければならない
最後に松本 一紀さんのコメントを引用させていただきます。
一致団結して、他人と接触しない制約を受け入れる。そして、その条件下で経済活動が止まらない方法を考えるという、とても難易度の高い課題が、今人類に課せられており、その答えをまだ我々は誰も知りません。
この極限状態の中で、その課題に対する答えを必死に見つけようとする人々の姿がこの街にはあります。これこそが今、私たちにできることではないでしょうか?
<引用>日本も緊急事態宣言へ。パリ発「新型コロナに対峙するハイブランドの動き」