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求めるスキルの前に、大切にしているポイント

2019年末に、EC・デジタル領域のスタープレイヤーや有力経験者を採用できない理由についてnoteを書いたところ、多くの反響をいただきました。この記事は、採用できない背景や現実を、経営者や採用従事者に知ってほしいという思いで書いたものです。

採用する側はどう臨むか

「こんな人材を採用したい」ということに目が行きがちですが、経験を積んでくると、それだけは難しいことを理解できます。私自身も失敗を重ね、現在も試行錯誤していますが、ベースにしているのは下記です。

■ 前提
全く同じ環境の人はいないから「ポテンシャル採用」として考える

■ 重視する観点
(1)会社と部門のカルチャーにフィットするか
(2)今と未来への対応力(キャッチアップ力・文脈理解力)

■ 訊き方
すぐに答えを聞かずに、過去の場面における考え方と行動を訊く

■ 他人への接し方を見る
あえて面接中にお茶を出してもらう

■ 意思決定
全て聞いた上で、少しでも違和感があるなら採用しない
(リソース確保を人質にしてはいけない、リソースが必要なら外部を使う)


ポテンシャル採用という前提

もちろん、職種や役職によって求められる最低限のスキルは存在しますし、それは確認をします。しかし、まったく同じ状況で経験した人を採用することは、ほぼ不可能でしょう。ということは、「ポテンシャル採用」と割り切ってポテンシャルを見極める方に重きを置いたほうがよいと考えています。


カルチャーフィットとキャッチアップ力

私はこれまで小売業界でキャリアを積んできたので、この2つを重要視しています。

(1)会社と部門のカルチャーにフィットするか
(2)今と未来への対応力(キャッチアップ力・文脈理解力)

(1)に関しては、仮にどんなにスキルがあっても、カルチャーフィット、すなわち会社の文化にフィットしない人を採用すると、確実にお互いのミスマッチを招きます。また、新しい事業や成長分野に取り組む部門には、さらに部門のカルチャーが存在するはずなので、そのフィット感を確認する必要があるでしょう。

(2)に関しては、仮に今できることが多くても、変化が多い市場や組織の場合には、今や未来に対しての対応力・キャッチアップ力の方が重要です。今持ってなくても、どれくらいの期間でスキルを身につけられるか。そもそも今のような変化が激しい時代には必須と言えるかもしれません。

NewsPicksアカデミア 野村高文さんと、幻冬舎 設楽悠介さんがやられている風呂敷「畳み人」ラジオでも近いことをお話しされていて、とても参考になりました。


過去の場面における考え方と行動を訊く

「うちの会社では〇〇を会社全員でやりますが、問題ないですか?」
「今まで経験されていない●●のような課題に取り組んでいきますが、大丈夫ですか?」
と直接的に質問すると、ほとんどの人は反射的に「YES」と答えてしまします。

こちらが見極めたい内容に対しては、過去に同様な場面で、どのように感じ、考え、行動したかを複数聞いてみると良いでしょう。複数のエピソードに整合性がない場合は、それが本心かどうかが怪しくなってきます。

また、これはEC・デジタル領域であるあるですが、「1人で全て担当してきました」という方には注意が必要です。理由は、チームワークでの仕事が苦手だったり、「1人でやらされた」という被害者意識がネガティブ思考につながっていたり、自身の業務を体系的に理解できていないような可能性があるからです。それにおいても、考え方と行動を訊くようにしましょう。


他人への接し方を見る

これはネタバレになってしましますが・・・(笑)
面接では、序盤よりも場がほぐれて話が盛り上がってきている時を見計らって、お茶を出してもらうのが良いです。

いくら誠意をもって話しをしていても、どんな受け方をするかによって、本当の姿が浮き彫りになります。
※細かく書くと対策されてしまうので、ご想像にお任せします。

どんな人にお茶を出してもらうかによっても工夫する余地があります。


少しでも違和感があるなら採用しない

全て聞いた上で、少しでも違和感が残ったとしても、「すべてにフィットする人を探す方が難しい」と考えて採用に踏み切るときがあります。私は何度かこれで失敗をしています。

特にカルチャーフィットやキャッチアップ力を見極めるときに少しでも違和感を感じたのであれば、採用しないことをオススメします。経験を積めば積むほど、過去のデータによる“カン”が働きますし、案外それは当たっています。

リソース確保のための採用をする場合もありますが、リソースを人質にしてはいけません、リソースが必要なら、一時的に外注を活用したほうがよいでしょう。



採用においても失敗を恐れずに、失敗を身にしていくことが必要です。
あくまでも私の経験軸でお話ししましたが、社外からの採用だけでなく、社内の異動受け入れでも使えると考えています。

読者の方々に、少しでもお役に立てたら幸いです。


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