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今だからこそ実施した!Zoomを含めた“オンライン接客”の実例公開【オールユアーズ木村昌史】

ECエバンジェリストの川添 隆です。#Withコロナ時代を生き抜くヒント を探っていく連載を実施します。

「Withコロナ時代に求められる接客とは?」というようなテーマで、株式会社オールユアーズ 代表取締役 木村 昌史さんにインタビューいたしました。

第1部はオールユアーズのオンライン接客の取り組みをご紹介いたします。


ゲストプロフィール

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木村 昌史
株式会社オールユアーズ 代表取締役

「インターネット時代のワークウェア」をコンセプトに、ストレスからヒトをカイホウするプロダクトを開発。CAMPFIREにて24ヶ月連続クラウドファンディングに挑戦中。アパレルカテゴリで国内最高額の支援額を調達。インターネットを利用して、アナログなコミュニケーションを取ることに重きを置く。
コーポレート: https://allyours.jp/
Twitter: https://twitter.com/kimuramasashi82
note: https://note.com/hirihiri


ZoomをB2Cにいかす!Zoom接客・オンライン接客とは

アメリカのB2C領域で、Zoomが活用されているようです。

上記はファンマーケティングとしてのイベントですが、Zoomという道具をうまく使っている事例であることに間違いありません。日本でもオールユアーズやIKEUCHI ORGANICなどが、Zoomを通じた接客を導入しはじめました。

また、大手企業ではgreen label relaxingがTwitterを使っての接客をスタートしています。

<引用:green label relaxingのTwitter>

他にもビフォーコロナから、LINEを通じた接客、ツールを使ったチャット接客に取り組んでいる企業(ナノ・ユニバースなど)もあります。

■ メガネスーパー コンタクトのLINE
https://www.meganesuper.co.jp/shop-talk/

■ ナノ・ユニバースのnano-bot
https://store.nanouniverse.jp/feature/nu-chat/sp.html

さらに踏み込んでいる企業は、動画配信やライブコマースを積極的に行っています。

■ ウィゴーのライブコマース関連記事
https://senken.co.jp/posts/wego-live-commerce-200430

■ ビームスのライブコマース関連記事
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01293/050700001/


オールユアーズのオンライン接客 3種類とその概要

オールユアーズでは、下記のような3種類のオンライン接客を実施しています。

1.かんたん質問箱を使った接客
2.Twitter上での接客
3.プライベートZoom接客

1→3の順番でコミュニケーションの濃密さが増す接客になっています。それぞれの特徴や狙いを教えていただきました。


1.かんたん質問箱を使った接客

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<引用:オールユアーズのかんたん質問箱

買い物をする前に気になること、不明点を気軽に質問できるコーナーを入り口としたオンライン接客(Googleフォームを利用)。ユーザー側はフォームを入力して送信すると、追ってTwitterのDMで返答がくるという流れです。

<設問内容>
●気になっているオールユアーズ製品
●上記、製品についての気になっていることやご不明点
●お名前
●TwitterのアカウントID ※DM返信用
●メールアドレス ※Twitterで連絡が取れない場合はメールで連絡

ーよりよいお返事をさせていただくためにお伺いしたいことー
●身長
●体重
●よく着るブランド
●上記ブランドの着用サイズ(トップス)
●上記ブランドの着用サイズ(パンツ)
●着用したいサイズ感のお好み
●その他、備考があればお書きください

■ 想定のユーザー像
自分の意思で決めたい人(お店で言うと、イヤホンつけて入店する人)、公開されたTwitter上でのやり取りをはばかる人

■ 運営のメリット
運営の返答は時間的猶予が持てる

■ 運営のデメリット
上記の裏返しとして、対応人数が限られると即時性が出せない


2.Twitter上での接客

リプライやDMを使って、Twitter上のみで完結するオンライン接客。これは他のブランドでも実施されている手法です。

■ 想定のユーザー像
Twitterに使い慣れている人、オープンなコミュニケーションでもOKな人

■ 運営のメリット
即時性は出しやすい、Twitterを使い慣れているユーザーだとUGCにつながる可能性がある

■ 運営のデメリット
テキストベースなのでやり取りが多くなる


3.プライベートZoom接客

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4月15日(水)からスタートしているZoomを使ったオンライン接客。「なるべく店舗でやっている接客に近い手法」という位置づけです。

■ 想定のユーザー像
より深い商品情報やサイズのアドバイスなどが欲しい人、オンラインの対面で自分の悩みを聞いて欲しい人

■ 運営のメリット
目と耳でブランド・商品を伝えられる、接客したお客様の購入頻度が高まっている(詳しくは後述)

■ 運営のデメリット
現状は木村さんのみの対応なので、対応人数に限界がある(今後、対応スタッフを増やす予定)

※詳細な意図などは下記の記事をご覧ください。

これ以降は、特徴的な取り組みである「プライベートZoom接客」にフォーカスします。


 オールユアーズにおける「プライベートZoom接客」の流れ

接客の一連の流れは下記のような手順です。

1.Calendlyから予約してもらう

(1)接客日の選択
(2)必要情報の入力・送信

<設問内容>
●氏名
●メールアドレス
●TwitterのアカウントID ※ZoomのURL送付用
●気になっている商品、オンライン接客で聞きたいこと


2.ブランド側の接客準備

事前にいただいた「気になっている商品、オンライン接客で聞きたいこと」に関して予習しておく。


3.当日の接客や購入のオススメのしかた

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●まずは事前にいただいた「聞きたいこと」に対して、ECサイトやInstagramのページを見せて、口頭での説明をしていく。

●体型がわかればサイズの提案をする。オールユアーズとしての最適サイズ、好みによるサイズを解説する。どちらか迷われる場合は、“ご自宅お試し制度”で「どっちも試着してみたらどうでしょう?」とオススメする。

●「試着しても迷う場合はTwitterでDMください」とお伝えする。

●雑談を通じてお客様のパーソナリティを聞いた上で、そっと肩を押してあげる。

●プライベートZoom接客は、商品情報を伝えるよりも、コミュニケーションとることによる安心感をご提供すること重きを置く


4.アフターフォロー

●基本はお客様の自主性にお任せするのが前提。

●TwitterのDMからの再質問で、Zoom接客が必要な場合は再度実施する。
※もともとのご新規の方であっても、一度話しているためコミュニケーションしやすい、悩みも言いやすい


なぜ「プライベートZoom接客」をやるのか?

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コロナ禍の影響で、営業できない店舗の代替手段という役割はあるでしょう。その一方で「インフォメーションを共有するよりも、インスピレーションを共有するが大事になる。それによって、お客様が“自分の解釈”を加えることができて、自身で話せるようになることを目指したい。(木村)」とおっしゃっています。

オールユアーズはもともとクラウドファンディングやECサイトのようなオンラインチャネルからスタートしています。ただし、ECサイトは商品スペックなどのファクト(事実)を並べざるを得ないという特徴があります。

一方で、プライベートZoom接客を試したところ、ファクトにならない会話ができることを発見されたそうです。「それあるある~」とか「は~なるほど~」といった共感や、雑談を通じたお客様のパーソナリティやお悩みを得られるようです。「ファクトが知りたい人にとっては、オンライン接客は無駄でしかない。(木村)」とおっしゃるように、自分から能動的に意思決定できる人はにはプライベートなオンラン接客は必要ないわけです。逆に「自分の話を聞いてほしい」というお客様にとって必要な手段であり、対面の接客を通じて「自分色に染める余白」につながっているのでしょう。


「プライベートZoom接客」のポイント

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プライベートZoom接客は「なるべく店舗でやっている接客に近い手法」という位置づけです。店舗が営業できない中で、事前に聞きたいことを確認して、オンライン上でそれにお答えする手段となっています。

一方で、接客の中心には“お悩みを聞く”、“雑談”があるとのこと。
「もともと店舗の接客の役割には、お客様自身の悩みを聞いてほしいことにあると捉えている。ファッションは趣味嗜好のモノだからニュアンスの領域が大きい。つまり、お客様自身が明確に答えを持っているわけではない。自分の悩みを聞いて欲しいから、スタッフに自己開示をされている。相談した事実が大事であって、ある意味、『聞いてくれる人のところで買います』ということじゃないかなと。悩みを聞いてくれる人(スタッフ)が発する情報は、お客様自身にも入りやすくなるから、体験深度が高くなる。最終的に、そういったお客様の肩を押してあげる。(木村)」

ファッションであったしても、「Tシャツは能動的に決められるけど、ジーンズはスタッフの人と一度は相談したい」というように、商品によって人の気持ちは変わってきます。本来オフラインの対面が担っていた役割を、プライベートZoom接客が担えるようにすることが重要なポイントだと感じました。


「プライベートZoom接客」の特徴・効果

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■ ブランドとしての最適な販売のUIを実現できる

画面共有しながら音声で伝えられる。目と耳で確認できることで、理解度が深くなる効果があるようです。

また、店舗であれば「商品選択→提案(商品やキャンペーン)→お会計」はスムーズに流れていきますが、ECサイトは必ずしもそうではありません。ページが分断されることで迷子になったり、見落とすことがあります。例えば、ハイキックジーンズの裾上げを例にすると、ジーンズをカートに入れた後に、裾上げ商品をカートに入れる必要があります。

こういった遷移は、一般的なECサイトであっても、クーポンやキャンペーンなどの適用時に起こりえることです。しかし、プライベートZoom接客は伴走しながら「商品選択→付随するキャンペーンや商品の選択→カート→注文入力→支払方法→注文完了」までご案内することが可能。すなわち、ブランドとしての最適な販売のUIを実現できるようです。


■ オンラインとリアル接客の違い

現状プライベートZoom接客を申し込む人はリピーターというよりも、店舗に来たことのない新規のお客様がメイン。特に東京以外の遠方の方もこの機会に利用いただき、かつ喜んでいただいているようです。

さらに、店舗での接客よりも、オンラインの方が接客時間は短いとのこと。お互いに事前に話すことが明確だからでしょう。

また、リアルな接客との違いは、説明と試着体験の時間・場所が分かれることもあります。
・オンライン接客:商品説明の機会
・自宅試着:サイズを合わせ悩む時間
アフターフォローも含めて、ユーザーが好きなタイミングでコミュニケーションを取れるというのは、オンラインの特長と言えるでしょう。


■ 購買頻度が高まる

プライベートZoom接客経由で購入されたお客様は、その後の購買頻度が高い傾向にあるようです。対面の効果と、最適なUIを知ることによる効果だと推測されます。

1対1で丁寧に商品説明やカートの動きを伝えることで、「他人に教えられるレベル」にブランドの理解が深まる可能性があります。この密着度が、商品を利用した後のブランド想起につながっているのではないでしょうか。


■ UGCが出やすい

アフターフォローで再度プライベートZoom接客の方は特に密着度が高くなります。そういう方からは、ほぼ100%UGCが出るそうです。

当たり前ですが、UGCが出るには、ユーザーがSNSを利用していることが必須です。オールユアーズのZoomを含むオンライン接客は、基本はTwitterでの連絡をベースとしており、おのずとUGCが出やすいユーザーを特定している特徴があります。そこに、ブランドとの密着度が増すことで、高確率でUGCが出ているのでしょう。

これは店舗よりも優れている点だと言えるかもしれません。


「プライベートZoom接客」を経験した顧客の反応

体験希望のユーザーや、すでに体験された方の反応が出てきています。

プライベートZoom接客を体験してみたい方は、ぜひ下記から申込してみてください。


#Withコロナ時代を生き抜くヒント 連載のご紹介↓

第2部

第3部

第4部

第5部

第6部

第7部



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